松戸車両センター
 松戸車両センターは、常磐線の取手以南を担当する電車区として誕生いたしました。現在、松戸市近郊に交検線を備えた電車区と、我孫子市の常磐線沿線に収容能力が高い留置線があります。

 この電車区は、ATSを設置する契機となった三河島事故を当事者として体験しました。また、沿線顧客の増加により、ラッシュ時の15両運転、地下鉄千代田線との相互乗り入れ、複々線化などの措置が執られました。ちなみに、通勤列車で15両運転を行っているのはこの松戸地区の常磐線のみとなっております。

 現在、103系24両、E231系265両、203系170両、207系10両、209系20両、クモヤ143系2両の計491両が在籍しています。車体の所属表記は「東マト」です。
↑松戸車両センター構内の様子
←正門にあった表札
↓構内の様子(左、我孫子 右、松戸)

松戸車両センターに在籍する車両
@ 103系
 1964年に登場した車両。国鉄時代最も多く作られた車両で、約3000両もの車両が制作された。

 山手線を皮切りに、京浜東北線、中央総武線、大阪環状線、常磐快速線に投入された。常磐線にはウグイス、カナリヤ、スカイブルー、オレンジに次いで5色目となるエメラルドグリーンが投入された。

 ラッシュ時には15両で運転された。また、特徴的な顔をした地下鉄千代田線乗り入れの1000番台もあった。

 主制御装置は、平行カルダン制御で、抵抗制御であった。高速域は苦手とされたが、常磐線では最高時速の100キロで運転された。が、高速域に達するとかなりの騒音が出て、またかなりの電力を必要としたため、現代のニーズを満たしていない点が多数上げられた。

 最近になって老朽化の目立つ103系は、後継のE231系にバトンをわたし、次々と常磐線を去っていった。現在残る103系は、写真の第7編成の他、22編成、31編成と訓練車のみ在籍している。


↑我孫子にて

←北小金にて

A E231系
 この電車は今後の通勤型電車の標準型として、JR東日本が開発した車両である。車体のデザインは209系500番台から来ているが、TIMSという画期的な装置を装備している。

 このTIMSは、自分の列車の情報が一目で分かり、自動放送や様々なメニューがあり、運転士や車掌の手助けをしている。

 また、VVVFインバーターは、IGBT素子の物を使用している。そのため、209系とは発車時のモーター音が異なる。

 この車両は209系950番台として登場後、中央総武線に投入され、103系、201系を全て追い出した。その後山手線に投入し、205系を全て転出させた。

 また、小山車両センターの115系置き換え用として近郊型が登場し、東北本線や高崎線、湘南新宿ラインで活躍している。

 その後、国府津車両センターの113系置き換えのため、近郊型のパワーアップバージョンが投入されている。

 常磐線には2001年に103系置き換えのために投入が開始され、次々と置き換えていった。当初は帯がエメラルドグリーン1色であったが、各駅停車との誤乗防止のため、下にウグイス色が追加された。

↑松戸にて

←馬橋にて

B 203系
 この電車は、地下鉄千代田線相互乗り入れ用として201系をベースにアルミ製の車体、チョッパ制御の地下鉄乗り入れ用の車両として、日本国有鉄道が開発した車両である。

 この車両は全国的にも松戸車両センターにしか在籍していない。
この車両が投入されたことで、103系の地下鉄乗り入れタイプとして常磐緩行線で活躍していた103系1000番台は置き換えられ、常磐快速線で活躍することになった。

 この車両は最初空気バネ台車を使用していたが、マイナーチェンジ車の100番台はボルスタレス台車を使用していた。

 また、常磐緩行線および地下鉄千代田線は保安装置がATCになったため、203系はATCを装備している。

 現在、松戸車両センターに10両17編成の全170両が在籍している。

↑松戸にて

←南柏にて

C 207系900番台
 この車両は、国鉄末期に開発された車両で、国鉄唯一のVVVFインバータ車両である。900番台なので試作車両である。

 車両のデザインは全体的に205系を彷彿とさせるデザインである。ただ、地下鉄乗り入れ車なので前面に貫通扉があるのと、上にある帯が無いところだけが205系と違っている。

 この車両の最大の目玉はインバータにある。まだVVVFインバータが試作段階の頃の物で、初期型のGTO素子の物が使われている。

このタイプのインバータは発車時に段階的な音を出すのが特徴で、209系に採用されている。

 この車両は試作車が10両作られたが、インバータが当時高価だったため、量産車にあたる車両は製造されなかった。また、インバータの研究もここで一時中断してしまったが、JRになった後901系試作車によってインバータの研究が再開され、現在に至っている。

 また、JR西日本では、207系と言いつつ全く異なる形式として207系を制作し、現在網干総合車両所に大量に在籍している。なお、JR東日本の207系は、900番台の試作車10両1編成のみが、松戸車両センターに在籍している。

↑松戸にて

←綾瀬にて

A 209系1000番台
 209系はJR東日本がVVVFインバータの研究用に開発した901系試作車を元に設計された車両で、京浜東北線に最初に投入され、103系を置き換えた。また、南武線に2編成、八高、川越線には寒冷地化工事が施された209系3000番台が投入されている。また、209系の交直両用バージョンとしてE501系がある。

 209系1000番台は、そんな209系の地下鉄乗り入れバージョンとして開発され、常磐緩行線に投入された。主な違いは、行き先表示などがLED化された事と、地下鉄乗り入れのため、前面に貫通扉ができたことである。

 GTO素子のVVVFインバータを使用しているため、発車時のモータ音は207系900番台に類似している。また、窓が一部E231系のようになった場所も見受けられる。

 203系置き換え?のために常磐緩行線に投入された車両だったが、結局10両2編成が投入されたのみに留まっている。

↑松戸にて

←柏にて